蟻虫とカラットゾンビ

懐かしの所有物で振り返る断捨離前の悪あがき

月刊 ログイン 1988年12月2日号

 

表紙

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株式会社アスキーより刊行されていた「月刊ログイン」です。当時の印象としては「パソコンゲームの紹介に特化した冊子」のイメージがありました。実際、そういう方面に方向転換する事が功を奏して、休刊を免れたみたいです。

さて、今号は特集として「奇跡の机上印刷術に挑戦」という内容が取り上げられています。「奇跡」ってどういう事?と、もしかしたら不思議に思う方がいらっしゃるかもしれません。

今やDTPで印刷物等を制作するのは当たり前ですが、昔はマシン的にもシステム的にも発展途上的な状況で、且つ機材も恐ろしく高価でした。それまで職人芸的な手先の技術力と経験が必要だった制作に関しては、アナログ作業が当然の世界。職人気質の人たちからは「DTP」やら「デジタル」やらは、当初全く相手にされませんでした。「機械」に何が出来るのかと。

しかしながら、当然の如く作業効率を進めて行く上で、デザイン業界にも徐々にデジタル化の波が押し寄せて来ました。今まで多数の職種の人たちで成り立っていた「制作」という業務が、DTPによって、それこそたった一人でこなす事が出来る様になったのです。これこそが正に「奇跡」の机上印刷術でした。結果的にデジタル化に上手く転換出来なかった専門職の人たちは、最悪の場合廃業に追い込まれるという事態にまで陥りました。こんなにも巨大な業界の大転換期が訪れるとは、この時は夢にも思わなかったものです。

 

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X68000 ACE

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「20MBハードディスクモデル」その容量が時代を感じさせます

X68000と言えば、個人的に印象深かったのがこの黄金のマスク「ツタンカーメン」です。初めて目の当たりにした時は、こんなにも美麗なグラフィックがパソコンで表現できるなんて…と、衝撃を受けたものです。

65,536色の発色数、RAM2メガバイト、ステレオFM音源・AD PCM内蔵と当時としては驚異的なスペックを誇っていました。まあ、その本体価格も驚異的ではありましたが。

 

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X68000 ACEは初代機の翌年、1988年に発売されました

様々な周辺機器、シリーズソフトに隠れる様にしてゲームソフトが紹介されています。

ツインビー」「アルカノイド」「沙羅曼蛇」等など、懐かしいタイトルが目白押しですね。

 

カラテカ

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1984年にブローダーバンドが発売したコンピュータ用アクションゲームのPC-9801版です。

数多くの機種に移植され、その存在自体は知っていたのですが、遂にプレイするには至らず。一部では◯ソゲー呼ばわりされているみたいですが、画面から漂う独特の世界観、外国人が勝手に想ってしまっちゃった日本とはこういう感じなんじゃないの?的な感覚が如実に表現されている迷作なのではないかと思います。

因みに、日本の元お笑いコンビ「カラテカ」は、ファミコン版の「カラテカ」に由来するみたいです。

 

PC-9801版「カラテカ

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ねじ式

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つげ義春氏原作「ねじ式」のアドベンチャーゲームです。制作はツァイト、PC-9801用のソフトウェアとなります。

知る人ぞ知る「ねじ式」がゲームになっていたとは知りませんでした。只、ゲーム内の登場人物を見ると「キクチサヨコ」やら「ゲンセンカンのおかみ」等、「ねじ式」のみならず色々な作品が含まれており、単純に「ねじ式」のストーリーに沿ったゲーム展開では無い様です。

荒唐無稽というか、ストーリがあって無い様な「ねじ式」という漫画を、果たしてどのように調理したのか。その出来具合が少々気になる所ではあります。

 

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PC-8801FE

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NECのPC-8800シリーズ、PC-8801FEの広告です。イメージキャラクターはお馴染みの斉藤由貴氏。1988年当時は22歳だと思われますが、流石にお若いですね。

5インチフロッピーディスク内臓で129,000円。漸く庶民の手に届く価格帯になって来た頃でしょうか。まあそれでも、おいそれと手は出せませんでしたが。

当時、各社からそれこそ色々なタイプの8ビットマシンが発売されましたが、物凄く大雑把な言い方をすれば、このNECのPC-8800シリーズさえ購入しておけば、随分と長い間ホビー的なパソコンライフが楽しめたのではないかと思うのです。残念ながら私自身は「ハチハチ」ユーザーではありませんでしたが。

 

ゲームアーツ

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株式会社ゲームアーツより「プロ野球ファミリースタジアム」「ぎゅわんぶらあ自己中心派」「ヴェイグス」のご紹介です。

ファミスタ」の愛称で親しまれている「プロ野球ファミリースタジアム」は、ニンテンドースイッチ版でも発売されている大ベストセラー商品ですね。先日発売35周年を迎えました。

片山まさゆき氏原作の「ぎゅわんぶらあ自己中心派」は初代MSX版でも発売されているみたいですが、限られた表示能力で良く表現されているのではないかと思います。

個人的に「ゲームアーツ」と言えばメガCD版の「シルフィード」に感動した思い出があります。当時から非常に技術力の高かった「ゲームアーツ」は、現在でもゲームソフトの制作に携わっています。

 

マイクロキャビン

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株式会社マイクロキャビンよりアドベンチャーゲームのご紹介です。所謂「キャラモノ」ですね。当時一斉を風靡したと言っても過言ではない人気キャラクターが目白押しです。

めぞん一刻」「きまぐれオレンジロード」「What's Michael?」。最早説明の必要も無いですね。個人的にはその昔、小林まこと氏原作の「What's Michael?」には大笑いさせてもらいました。

ところで「キャラモノ」ゲームに付きまとうのが、そのキャラクターの人気にあやかり過ぎて肝心のゲーム内容が宜しくない事。この3つのゲームの出来は、果たして如何ほどだったのでしょか。

因みに開発元の株式会社マイクロキャビンは今でも存在しています。個人的にマイクロキャビンと言えば、名作「ミステリーハウス」が思い出されます。線描きの簡素なグラフィックでしたが、あの独特のワクワク感は中々のモノでした。

 

zeit / will

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企画・制作:zeit、並びに株式会社willより発売されたPC-9801用ソフト「ねじ式」の広告です。そのゲーム内容は以前ご紹介しました。

背景に深めの緑色を使用する事で、原作が醸し出す何とも摩訶不思議な世界観を表現しているのではないでしょうか。

「名作浪漫文庫第一巻」として創刊された本作は、「ねじ式」の作者であるつげ義春氏のマニアが結集して制作されたとの事です。その後zeitは紆余曲折を経て倒産してしまいましたが、「ねじ式」のゲーム化に協力した株式会社willは今でも存在しており、ゲームソフト、教育用ソフトの開発を行っています。

因みに広告上で「ねッ 買って下さい。」となっている台詞、原作では「ねッ おしえて下さい イシャは どこだ!」となっています。「メイシャ」を探しているところなんですねぇ。

 

月刊 PCエンジン

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個人的に8bit最強のマシンだったと信じて疑わない「PCエンジン」。そんな家庭用ゲーム機の専門誌「月刊PCエンジン」創刊号の広告です。1988年に小学館より発行されました。

ゴリラが椅子に腰掛け、バナナを食しながら読書に勤しむ。何ともシュールな光景ですが、同誌のマスコットキャラクターとして、その名も「PCエンジンゴリラ」は(そのまんまのネーミング!)創刊号から最終号まで起用されました。

因みにマスコットキャラクターがゴリラと言えば、私が初めて親に購入してもらったナショナルのパソコン「CF-2000(MSX)」が思い出されます。まあこれは、愛称が「キングコング」だった訳で、ゴリラというのも納得出来るのですが、「月刊PCエンジン」が何故ゆえに「PCエンジンゴリラ」なのかは一寸謎ですね。

多くのコアなファンを獲得していた「月刊PCエンジン」ですが、時代の潮流に飲み込まれ、1994年3月号で廃刊してしまいました。

 

暗黒神話

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知る人ぞ知る、諸星大二郎氏原作のアドベンチャーゲームです。対応機種はMSX2、東京書籍より1988年に発売されました。価格は6,800円。

以前ご紹介した「ねじ式」もそうでしたが、まさかあの「暗黒神話」がゲームになっているとは思いませんでした。因みに諸星大二郎氏の作品は、ブログ内の「懐かしい漫画寸評」の中で「アダムの肋骨 傑作短篇集」を取り上げています。

それにしても諸星大二郎氏が持つ独特の摩訶不思議な世界、そして必ずしもメジャーとは言えないであろうこの「暗黒神話」という作品がゲームになった経緯、少々気になる所ではあります。調べてみるとファミコン版もトンキンハウス(東京書籍グループのコンピュータゲームソフトブランド。そう言えば昔聞いたことがあるブランド名でした…)から1989年に発売されていました。

 

奇跡の机上印刷術に挑戦

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「机上印刷術」とは何ぞや

表紙の紹介でも少し触れましたが、特集ページ「奇跡の机上印刷術に挑戦」です。こうして改めて見てみると、まだまだマシンもソフトも追いついていない感じですね。この様な状態ならば、職人気質の方々たちがDTPに見向きもしなかったのも頷けるかもしれません。

それまで多くの人間が関わってきた作業を一人で行える奇跡。それは、まだまだ始まったばかりだったみたいです。

 

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「編集部マップ」 取り敢えずカタチにはなっているが、視認性に乏しい
プロのイラストは流石だが、着色はモノクロのプリントアウトに
絵の具で彩色が施された涙ぐましいもの

 

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むむむ。これではワープロに毛が生えた程度の品質と言われても仕方がないかも

 

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「交換日記」その言葉が懐かしい

 

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画面上で全体のレイアウトを確認しつつ、
すぐさまレイアウトの変更が出来るのは驚異的でした

 

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Macとプリンターの構成が時代です。恐らくおいそれとは手が出せないお値段のハズ

 

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DTPは奥が深い「遊び」であるとの事

 

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DTPがおもちゃでなくなった日は、果たしていつの頃だったのでしょうか

メガドライブ

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ドリームキャスト」よりも、「サターン」よりも、そして「マークIII」よりも、個人的に一番遊び込んだのは「メガドライブ」だったのではないかと思います。最初の頃に発売されたソフトは少々厳しいものがありましたが(「スペースハリアー」は普通に出して欲しかったなぁ)「大魔界村(まさかの2周目に驚愕)」辺り位からでしょうか。「ストライダー飛竜(途中で固まるのもご愛嬌?)」も然り、「鋼鉄帝国」「ジノーグ」「ベアナックル」などなど、数々の名作が発売されました。(帝王「ソードオブソダン」は迷作)

本誌では、そんなメガドライブの周辺機器が紹介されています。因みに最も私が重宝したのは、ズバリ「メガアダプタ」でした。当時「マスターシステム」を所有していた友人から譲り受けたのですが、資産であった「マークIII」のソフトを気軽に楽しむ事が出来ました。現在でもマークIII本体は所有しているのですが、如何せんテレビに繋げるのは至難の業ではないかと思われます。

周辺機器として、その他にも「キーボード」やら「2インチフロッピーディスク」「グラフィックツール用デジタイザ」等が発売予定だったみたいですが、果たして。恐らくどれも発売されていないのではないかと思います。随分後になって「メガCD」と「スーパー32X」は発売されましたが。特に「メガCD」からは、ゲームアーツを筆頭に良作が随分と発売されたのではないかと思います。

 

パナソニック MSX2+ FS-A1 WX

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裏表紙を飾るのはパナソニックMSX2+パソコン「FS-A1 WX」です。標準価格は69,800円。

MSX2以降、パナソニックのFS-A1シリーズはかなり健闘していたのではないでしょうか。特に初代機である「FS-A1」は何と29,800円という低価格で発売され、「や、安い!」と、当時大きな衝撃を受けた覚えがあります。

それにしても、この頃のMSXにはフロッピーも標準搭載され、使える色数も大幅に増加。更には漢字も使えたりして初代MSXを所有していた自分としては、只々羨ましかった思い出があります。