蟻虫とカラットゾンビ

懐かしの所有物で振り返る断捨離前の悪あがき

パフォーマ(Macintosh Performa)

出典:アップルコンピュータ株式会社

 

パフォーマ(Macintosh Performa)は、当時のApple Computerより1992年から1997まで発売されたモニターと本体が一つになった一体型パソコン(セパレートタイプもあり)です。それまで高価で、中々手の出せなかったMacintoshシリーズの中において、比較的安価で手に入れる事が出来るパソコンとして登場しました。

また、多くのソフトが最初からバンドルされており(懐かしの「クラリスワークス」などなど)主にパソコン初心者から中級者までのユーザーに対して購入への糸口を見出してくれました。

そんなパフォーマでしたが、自社内における製品ラインへの圧迫、生産管理のミス等で採算が取れなくなってしまい、スティーブ・ジョブズ氏がAppleの経営に復帰した際にラインナップから姿を消してしまいました。

今回、せっせと集めていたパンフレットが見つかりましたので、ご紹介させて頂きたい思います。

なお、全ての画像の出典はアップルコンピュータ株式会社となります。

 

出典:アップルコンピュータ株式会社

「パフォーマ」には、本体、キーボード、マウスといったハードに加えて、多数のソフトまでが一つのパッケージに同梱されていました。こういった製品は、今までありそうでなかったのかもしれません。更には、当時としてはまだまだ珍しかったインターネットへの接続も可能という事で、正に至れり尽くせり状態でした。

当時のOSは懐かしの「漢字TALK7.5」。この日本語向けのOS「漢字TALK」という呼び名は、個人的に非常にセンスがあるなあと妙に感心したものです。しかしながら、その評判は今ひとつで「Mac=爆弾」が頻発するという図式が出来上がったのもこの頃だったと思います。そんな悪名高きMacでしたが、実際のところ他のOSでもそれなりにフリーズは発生していたようです。但し、Macにおける爆弾の出現は非常にインパクトがあり、結果、皆の記憶に強く残ってしまった様です。私自身、何度も経験しましたが、あのインパクトは半端ではありませんでした。しかも、こういう時に限って「command+s」が疎かになっていたりするんですよね。

 

出典:アップルコンピュータ株式会社

パフォーマが持つ大きな魅力の一つに、TVやビデオといった映像やサウンド等、色々な素材を取り込める機能がありました。それまで録りためていた動画をこれ一台で編集出来る訳ですから、中々魅力的です。

しかしながら如何せん当時のスペックでは、その作業環境は必ずしも快適であったとは到底思えません。CPUのクロック数は勿論の事、やはり内蔵HDの容量が少なすぎます。元々、MacのHDの容量は当時から他のパソコンに比べて少ない傾向だったのですが、動画を扱う上で1.2GB(1.2Tではありません)では辛いモノがあります。通常の使用用途ならまだしも、膨大な容量を扱う動画では苦戦を強いられたと思います。もちろん大前提として、表示出来る画像サイズをかなり小さくする事で編集作業が可能になったものだと思われます。全画面表示なんて、当時はそれこそ夢のまた夢でしょう。まあそれでも動画編集を極める第一歩だと思えば、さもありなんだったのかもしれません。

いや~それにしても、画面上部のビデオデッキやら8ミリビデオの造形が懐かしすぎますね。画面下部に見える年賀状の切手は50円ですし郵便番号はまだ5桁という…何とも時代です。

 

出典:アップルコンピュータ株式会社

「オールインワン」というだけあって、本体正面左側にはフロントローディングタイプのCD-ROMドライブ、そして右側には、な、な、な、懐かしのフロッピーディスクドライブが設けられています。当時はこれだけあれば充分ではなかったでしょうか。他にも記録媒体としては、他所のデザイン事務所に渡したら、二度と帰ってこない「MO」や、海外では何故か本体に標準で搭載されていた「ZIP」なんてのもありましたね。

今やフロッピーディスクは勿論の事、CD-ROMすらほとんどのパソコンには搭載されておらず、データのやりとりは全てインターネットを介して行われる時代。そんな時代が訪れるなんて、この時は夢にも思っていませんでした。

それにしても一番下に掲載されている「Performa 588」。他のマシンに比べ性能は低いものの、筐体のデザインが一番かわいらしく見えます。初代Macの愛らしいデザインが少なからず踏襲されている様です。

 

出典:アップルコンピュータ株式会社

バンドルソフトの数々が紹介されています。その品質はともかく「とにかく触れる」には充分な内容だったのではないかと思います。

紙面に目をやると…懐かしいところでは「Netscape Navigator」の画面が確認出来ますね。昔のブラウザはこの「Netscape Navigator」と「Internet Exproler」が二大巨頭として君臨していましたっけ。

ドロー系ソフトの「クラリスワークス」も勿論バンドルされていますし、その他には、美麗グラフィックでかなりの難易度を誇った「Myst」もプレイ出来たみたいです。

 

出典:アップルコンピュータ株式会社

パフォーマシリーズのラインナップが掲載されています。当時、私が大枚をはたいて購入した最高峰の「Performa5320」でさえ、内蔵ハードディスクの容量は1.2GB、モニタの解像度は最高でも832✕624、色数は256色という仕様でした。当時はそれでも満足していたのですが、流石に256色表示の写真画像は辛いものがありましたね。

ラインナップの下には、周辺機器としてプリンタやデジタルカメラ、映像関係のシステムが用意されています。恐らくどれもがソコソコ高価なのは想像に固くありません。

因みに、その形状がユニークな「Apple QuickTake 150」の価格を調べてみると…1995年当時で700USドルとあります。1995年当時は1ドル94円程ですので、定価は65,800円となります。やはりかなり高額と言わざる負えないですね。スペック的にはデジタルカメラ黎明期故に、今のソレとは比べるまでもありませんが「フィルムなしで写真が撮れる」という事実が各分野にもたらした功績は、大きかったのではないかと思います。