蟻虫とカラットゾンビ

懐かしの所有物で振り返る断捨離前の悪あがき

I/O(アイ・オー)1981年6月号

 

表紙

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1981年(昭和56年)6月に工学社より発行された、ホビー・エレクトロニクスの情報誌、「I/O」の表紙です。1976年(昭和51年)創刊で、何と現在も発行されている老舗情報誌です。誌名の「I/O」はコンピュータ用語の「Input Output」を略したものです。

内容は、ソフト的なゲームプログラムの掲載だけにとどまらず、ハード的な回路図の掲載など多岐に渡り、マイコン雑誌として隆盛を極めました。

表紙には「タンディ」やら、「MZ-80B」「VIC」等、懐かしい名前が見えますね。中々良い味を出している、エアブラシで描かれたヘビと戦うロボットらしきイラストは、恐らくゲームとして掲載されている「スネーク・ワールド」(PC-8001用)の世界観を表現しているものだと思われます。

NEC PC-8001

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日本電気株式会社(NEC)のPC-8001の広告です。1979年5月にNEC初のパソコンとして発表されました。お値段は168,000円。さて写真に目をやると、作曲中でしょうか。ディスプレイと本体の横には楽器や譜面、ヘッドホンが置かれています。それにしても少々気になるのは画面中央の置き煙草。この演出は今の時代では、ちょっと考えられないかもです。ところで、PC-8001ってBEEP音しか出せなかった様な…。

Apple II J-plus

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右端に斜めに配置されたロゴが印象的な、「apple computer」の広告です。日本総発売元は東レ。当時かなり高価だった国産製のパソコンより更に高価なイメージだったアップル製のパソコンですが、そのデザインセンスは良しとして、やはりお高いですねえ。メモリが16Kのエントリーモデルですら358,000円、48K版に至っては418,000円という標準小売価格設定。ここから周辺機器を揃えていくとなると、一体幾らになるのやら。正にユーザーを選ぶパソコンの代表格と言えますね。

日立 ベーシックマスターレベル3

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1980年に発売された日立製作所製のパソコン「ベーシックマスターレベル3」の広告です。その巨大な本体の形状は、先にご紹介したApple IIを参考にしたとか、しないとか。1番から通し番号入りで様々な周辺機器等が紹介されています。本体はもちろんのこと、時代的にプリンター、フロッピーディスクは、やはりかなり高価ですね。

さてこのマシン、当時としてはかなり先進的な技術が盛り込まれている様で、例えば640200ドットの高解像度カラーグラフィック表示や、画面上のひらがな表示を日本で初めて実現しました。因みに同じ名称を名乗るベーシックマスターJr.との互換性は全くありません。それにしてもこの当時から既に「ライトペン」があったのには少々驚かされました。

コモドール VIC-1001/タンディ TSR80

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ハレーション気味のタイトル「THE FRIENDLY COMPUTER」が目に眩しい、198012月、コモドールジャパンより日本向けに発売されたVIC-1001の広告です。ホビーユースとして開発されたこのマシンは、そのお値段何と衝撃の69,800円!当時としては破格の割に多彩なカラー表示、3音+ノイズのサウンド機能、家庭用テレビに接続可能といった嬉しい仕様で非常にコストパフォーマンスが高く、日本国内でも一定の成功を収めたのではないかと思います。そして最終的には全世界で250万台を売り上げる大ヒット商品となりました。因みに「VIC」とはVideo Interface Chip の略だそうで、コモドールの社員が興味深いVideoチップを発見した際に、これを使ってパソコンで何か出来ないかと考えて末に誕生したパソコンとの事です。

一方、おぼろげながら記憶にあるのがタンディのTSR-80 Modelです。広告はフロッピーディスクを背景に文字が配置されており、中々印象深いです。Model 11977年に発売されており、分厚い本体が特徴的な渋いデザインです。本機はタンディ・コーポレーションが製造、同社が経営する電器店チェーン、ラジオシャックから発売されました。その巨大な販売網を活かし趣味で楽しむ人や、一般家庭、スモールビジネスの分野にまで進出し、人気を博しました。大量生産、低コストなパーソナルコンピュータの先駆けの1つだと言われています。

シャープ MZ-80B

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裏表紙でもご紹介しているシャープのクリーンコンピュータMZシリーズの新機種「MZ-80B」の広告です。1981年の春に発売されました。それにしても実物大らしきキーボードの印刷が、否が応にも過去の哀しい記憶を思い出させてくれます。右下の方には姉妹機の「MZ-80K2」の姿も確認出来ます。オレンジとブラックのカラーリングが愛らしいです。しばらくは、このMZ-80Bがフラッグシップマシンとして君臨するのですが、「磨きぬかれて、新次元へ。MZを超えるのはやはりMZです。」とのキャッチフレーズと共に1982年の7月に彼のMZ-2000が発売され、世代交代する運びとなるのです。

裏表紙 シャープ MZ-80B

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裏表紙には新製品として、クリーンコンピュータ「MZ-80B」が掲載されています。シルバーを基調とした非常にスッキリとしたデザイン、高級感漂う洗練された造形が素晴らしいです。少し見辛いのですが、製品名ロゴの左側には赤色をバックにMZシリーズのシンボル「アルゴ船」が確認出来ます。「勇気」「未来」「探求」そして「憧れ」といった想い、若者よMZ-80と共にBASICの大海原へ出港しようではないか、という想いが込められているとの事です。