蟻虫とカラットゾンビ

懐かしの所有物で振り返る断捨離前の悪あがき

妖虫

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出典:株式会社 秋田書店

 

 

初 版 1975.9.15
著 者 古賀 新一

巻 数 全1巻
発行所 株式会社 秋田書店
定 価 370円
評 価 ★★★☆☆

 

あらすじ

大屋敷に一人で住む昆虫好きの青年・秀夫は、母親を亡くして以来定職にも就かず、昆虫採集に没頭する毎日を送っていた。近所の住民からは変人扱いされ、叔母からは心配される始末。そんなある日、学生たちから揶揄され「コエダメ」に落ちてしまう秀夫。夜になって痛む傷口に目をやると、何と傷口からは大量の「綿」が飛び出していた。原因不明の奇病に侵されていく秀夫。あたかも完全変態する蝶の様に、自分の意志とは無関係に変態を繰り返して行くのだが……。

 

寸評

いちばん身近で、実は何よりも知られていない人間のからだ。そんな人間のからだに怪奇と夢とロマンを託して描きたかった、と作者は語っています。改めて絵柄を見てみると、非常に細かく描き込まれており、氏の作品の中でも群を抜く美しさだと思います。正に脂が乗りきっていた頃でしょうか。作者の古賀新一氏は、残念ながら2018年に81歳でお亡くなりになりました。古賀新一氏といえば、やはり「エコエコアザラク」が思い出されます。この作品に関しては、また別の機会にご紹介したいと思います。