蟻虫とカラットゾンビ

懐かしの所有物で振り返る断捨離前の悪あがき

のろいの館(赤んぼう少女より)

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小学生の頃、同級生の女の子から強制的に読まされた記憶が…

 

 

初 版 1969.9.5
著 者 楳図かずお
巻 数 全1巻
発行所 株式会社 秋田書店
定 価 400円
評 価 ★★★☆☆

 

あらすじ

天才楳図かずお氏が描くスタンダードホラー。愛すべきキャラクター「タマミ」が登場します。

生まれてすぐ、姉と生き別れになってしまっていた妹の南条葉子。それまでの大変な生活も一変、生家である大きな屋敷で裕福な暮らしが始まるのかと思いきや、屋敷には赤んぼうのような姿の無気味な姉、「タマミ」が待ち構えてた。執拗なタマミのいじめの前に、果たして葉子の運命は…。そして、タマミの本性とは…。

 

寸評

何が怖いかと言えば、設定が既に怖いのです。精緻なラインで描かれた絵柄はもちろんの事、古ぼけた洋館、施設育ちの葉子、職業不明の父、妙なテンションの母、何かを隠しているばあや、鍵を握るばあやの孫、高也…。強烈な存在である「タマミ」の前にこの設定ですからもう大変です。

楳図かずお氏の代表的なキャラクターの一人である「タマミ」。その小さな身体にも拘わらず、作中ではその恐るべき生命力、恐るべき身体能力を駆使して、執拗に葉子を追い詰めます。それこそ、ありとあらゆる手段で。その本心とは一体…。儚くも哀しい「少女」の物語を是非ご堪能ください。