蟻虫とカラットゾンビ

懐かしの所有物で振り返る断捨離前の悪あがき

ヒメアノ〜ル

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平凡な日常に忍び寄る恐怖

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この作品の主人公は、結局のところ…

初 版 2008.11.6
著 者 古谷実
巻 数 全6巻
発行所 講談社
定 価 560円
評 価 ★★★☆☆

 

あらすじ

ビル清掃員の岡田は何の取り柄も無く、ただ終わるだけの毎日に嫌気がさしていた。そんな毎日を打破する為、同僚の安藤に相談するも、何故か安藤が密かに恋心を抱いていたコーヒーショップの店員、ユカと恋人関係に陥ってしまった。そんなユカを執拗に見つめる、岡田の高校時代の同級生森田。彼は、人には言えない異常な性癖の持ち主であった…。

 

書評

「行け! 稲中卓球部」で爆発的人気を得た古谷実氏の作品です。ギャグ漫画から一転、シリアス路線に移行して何作目の作品でしょうか。一見、相変わらずのストーリー展開に辟易する方が多いかもしれませんが、ひょっとしたら遭遇するかもしれない日常生活に潜む恐怖を描く手腕には、毎回感心させられてしまいます。連載の度に似た様な話だと揶揄する声も多いのですが、本作品は主人公の設定が面白く、評価の別れるラストも個人的にはアリでした。正直、ちょっと泣けてしまいましたし。今回も何かと問題が多い内容になっているかもしれませんが、特異なジャンルを描いた作品として評価出来るのではないでしょうか。因みに「アノール」とは、トカゲの意味で、この作品の題名は「ヒメトカゲ」を意味しているらしいです。