蟻虫とカラットゾンビ

懐かしの所有物で振り返る断捨離前の悪あがき

マイコン入門 1982年

表紙

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BASICのプログラムをバックに、キャラクターグラフィックで描かれたイラストがカラフルでかわいい、趣味講座「マイコン入門」のテキストの表紙です。趣味講座は1981年から1990年まで放送され、入門レベルで趣味や暮らしに役立つ技能などを学べる番組として、その講座は多岐に渡りました。

FM-8

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表2には富士通初のパーソナルコンピュータFM-8が掲載されています。FM-7の前身ですね。某電器店で一度だけ実物を見たことがあるのですが、FM-8と言えば外部記憶装置として普及しなかったバブルカセットとその巨大な本体が印象的でした。

右ページには講座のタイトルと共に、キャラクターグラフィックを駆使して描かれた動物たちが賑やかにレイアウトされています。スミと緑の2色刷りが、クールで見やすい感じですね。

マイコンに親しもう

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BASICの基本中の基本、print文についての解説です。非常に真面目で丁寧な作り込みに好感が持てます。かと思えば、最初の方の文面には「どこかのマイコンを使って,番組の宣伝に一役買って下さい。」なんて一文も。無駄の無い洗練された手描きのイラストも良い味を出しています。

JR-100

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今はなき、ナショナルブランドより1981年に発売されたJR-100の広告が掲載されています。本体標準価格は54,800円。低価格にこだわったため、キーボードの質感や性能面においてかなりの制約がありましたが、取り敢えずは手に入れたいというユーザーにとっては、健闘した価格設定だったのではないでしょうか。

沖電気キヤノン

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沖電気のパソコンif800とキヤノンのパソコンCX-1とそのソフトウェアCAT-Iが紹介されています。

「ゲームソフトはありません。」という思い切ったキャッチコピーが目を引くif800。正直、初めて見た機種ですが、ホビーパソコンが主流であった時代に市場向けではなく、あくまでもビジネス向けパソコンとして開発されたみたいです。無骨な外観と相まって「漢」感満載です。

一方、キヤノンのスモールコンピュータ通称「スモコン」も初見ですが、どこが「スモール」?と言わんばかりの立派な外観ですね。(嫌いではありませんが)

事務処理専用ソフトウェア「CAT-I」。果たしてその実力は如何ほどのモノだったのでしょうか。

EPSON HC-20

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EPSONのハンドヘルドコンピュータHC-20です。モノクロ液晶モニタに記録装置としてのマイクロカセットレコーダー、それにプロッタプリンタまで搭載された至れり尽くせりの一体型マシンです。少々強引に言えば、今で言う所のノートパソコンの先駆け的存在だったのかもしれませんね。

カシオ FP-1000シリーズ

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今ひとつメジャーになり得なかったパソコンの代表格と言えば、カシオを代表する8ビットパソコン、FP-1000シリーズが一つの選択肢として挙げられるのではないでしょうか。当時絶好調のNECのPC-8000シリーズやPC-8800シリーズを強く意識したその造りは、カラーCRT対応のFP-1100が128,000円、グリーンCRT対応のFP-1000が98,000円と驚異の価格設定で真っ向勝負。(さすがカシオ!)当時としては、かなりリーズナブルで1982年に登場しました。グラフィック機能もFP-1100は640200ドットの解像度で8色表示が可能(640400ドット、モノクロ)と当時の他のマシンと比べても、何ら遜色ないレベルでした。デザイン的にも悪くないし、この条件で何故売れなかったのか疑問だったのですが、少々調べてみたところ、内部構造上よろしくない問題があったみたいです。この辺りは余り詳しくないのでアレですが、何でもビデオRAMやキーボードなどの周辺機器の全てが、低速サブCPU側に配置されていたそうで。それ故に、アクションゲーム等ホビーユースには使いにくい事実が露呈、早々に姿を消していったみたいです。今思えばこの辺りの仕様さえ違っていれば、もしかしたら…と思わせる類稀なるカシオらしい一台だったのかもしれません。

シャープ MZ-2000/MZ-1200

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またまた登場、シャープのパーソナルコンピュータMZ-2000とMZ-1200です。今見ても、このスクエアで角ばったデザインがカッコいいんですよね〜。姉妹機の廉価版、MZ-1200もイイ味を出しています。
確かMZ-2000はG-RAM1、2、3を装着すれば、こんなにコンパクトで可愛らしいモニター(10型)なのに、カラー表示等が可能になったと思います。しかし当然の事ながら、中々簡単に手が出せる価格でもなかったと記憶していますが。
本体右側にはこの時代お決まりの記憶媒体、カセットテープが縦型にレイアウトされています。その左下には懐かしのテープカウンターも確認できます。
個人的な話になりますが、どんなに優れたモノでも、やはり終わりは訪れるもので、このMZ-2000も例外ではありませんでした。そんな折、今でも忘れません。某電気店で何とMZ-2000が破格の39,800円で投げ売りされていたんです。当時、無理すれば購入する事も可能だったのですが結局買わずじまい。今でも悔やまれる何ともほろ苦い思い出です。

紙製キーボード

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付録と題されて見開きで掲載されているのは「マイコン(機種X)」なるキーボードの画像です。さて、これは一体何に使用するモノなのでしょうか。実はコレ、マイコンが買えないナイコン族(死語)の為のモノなんです。コレを机などに貼って、実際のコマンド文を紙製のキーボードを押さえる事によって、あたかも入力した気分に浸る、涙なしでは語れない逸品なんです。「ゲームセンターあらし」の著者、漫画家のすがやみつる氏が描いた「こんにちはマイコン」や以前紹介したケイブンシャの「マイコン大百科入門編」でも同様に紙製のキーボードが添付されており、如何に当時のマイコンが高価で、おいそれと購入出来なかったかを思い出させてくれます。そういえば、同級生のK君もパピコンの紙製キーボード(こんにちはマイコンの付録)を机に貼って、BASICの学習に勤しんでいたなあ。

日立 ベーシックマスター Jr.

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日立のベーシックマスターJr.の広告です。本体を挟む様にして微笑む親子。日立が提案する「親子でパソコン」というコピーが示す通り、漸く本体価格もこなれて来て、一般家庭にもパーソナルコンピュータが普及し始めた頃でしょうか。それにしても人間の横顔をモチーフにした日立の「HINT」マークが懐かしいです。この時代は本当に色々なメーカーから、独自の設計を施したマシンが多数発売され、正に玉石混交状態。良くも悪くも非常にバラエティに富んだ時代でした。

安立電気株式会社/アイ電子測器株式会社

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正に業務用然としたマイコンのご紹介です。アンリツのPacketIIとスーパー・マイコンABC-24、26とai-M16。流石にどの機種も見覚えがありませんが、一つだけ言えるのは、このマイコンたちは恐ろしく高価だったのは間違いないという事でしょうか。それより何より、気になるのは右ページのモデルの女性たちです。服装や髪型もさる事ながら、やらされている感満載のそのポーズがまた素晴らしいですね。マイコン本体の巨大さも見て取れます。今ご紹介しているこの「マイコン入門」の雑誌が1982年に発売されたものですから、今から39年前。うら若き女性モデルたちの年齢を20代前半と考慮しても今現在、還暦を過ぎているという事実。誌面から垣間見れる時代の流れを、感じざるを得ません。

NEC精工舎

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「国内実績No.1」と謳っている様に、NECがパソコン界に確固たる地位を築き始めた頃でしょうか。エントリーモデルのPC-6000シリーズ、通称「パピコン」から、PC-8000シリーズ、PC-8800シリーズ、ビジネス向けのN5200モデルと8ビットから16ビットまで豊富なラインナップが揃っています。

個人的に馴染みが深いのは、やはりPC-6001で、89,800円という低価格設定、家庭用テレビでも使用可能な利便性、最大4色のカラー表示、PSG搭載などなど、新たに「ホビーパソコン」というジャンルを生み出し、一般家庭への普及のきっかけを作った功績は非常に大きいと思います。

学生の頃、同級生のS君がパピコンを購入したのをきっかけに、友人間でちょっとしたパソコンブームは巻き起こったのは、今思えば本当に懐かしい思い出です。

シンクレア ZX-81/BUBCOM 80

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中々珍しいマシンが誌面を飾っています。知る人ぞ知るシンクレア社のZX81とバブコム80です。英国生まれの超コンパクトで、お洒落なパソコン、シンクレア社のZX81は、ベーマガに時折掲載されているのを見た記憶があります。衝撃の38,700円(その後29,800円に値下げ)という恐るべき低価格で総代理店の三井物産より販売されていました。徹底的なコストカットにより、生まれ故郷の英国では大成功を収めたみたいですが、日本では同時期にスペック的に優るナショナルのJR-100が市場に投入されたため、早々にその姿を消してしまったみたいです。それにしても当時、標準でRAMがたったの1KBだったのは衝撃的でした。

さて、謎のパソコン、バブコム80ですが、調べてみたところ富士通の技術者が創業したベンチャー企業富士通が共同で開発したマシンみたいです。だから製造元が「富士通」になっているんですね。とりあえず手持ちのカラーテレビやテープ・レコーダでBASICの入門が出来るのは良いのですが、このパソコンを購入しようという気持ちには、中々なれないのが正直な所でしょうか。外国人のモデルがリビングでゲーム(パックマン風…)をしている絵面も、その気持に拍車をかけている様な気がします。そんなバブコム80ですが、発売直後に富士通のFM-8が発売されたため、これまた早々に姿を消した悲運のマシンだったみたいです。

丸善無線電機株式会社/Oh! PC/Oh! MZ

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左ページには丸善無線電機株式会社の広告が掲載されています。今や液晶モニタが全盛の時代ですが、当時はブラウン管しかなく、しかもカラーディスプレイは高嶺の花。グリーンディスプレイで精一杯というユーザーも多かったのではないでしょうか。そんな中、本体とディスプレイがセットになってお得なプライス。もちろん購入出来る筈もないのですが、広告を眺めているだけで楽しい時代でした。それにしてもPC-8001の「永遠のベストセラー」というコピーが泣かせますね。

右ページには株式会社日本ソフトバンクが発行する月刊誌が紹介されています。以前ご紹介した「Oh! MZ」も掲載されていますね。表紙のイラストが良い味を出しています。宇宙空間を飛行するカセットテープ!中々シュールです。パソコンのハード別に発刊された月刊誌は、正に「痒いところに手が届く」内容で、ユーザーの支持を集めたのではないかと思います。

コスモス秋葉原九十九電機

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株式会社アスターインターナショナルと九十九電機株式会社の広告です。「ビジネスセット」「ビギナーセット」「ホビーセット」と多種多様なセットが「クレジットフェアー」と題されて掲載されています。こうして見ると、やはりNECの勢力が強いですね。まだまだ高価ですが、パピコンの「P60ホビーBセット」位は手に届く価格でしょうか。まあ、眺めているだけでも充分楽しいのですが。

「期待、ワクワク。」「マイコンは未知へのパスポート。」かわいらしいイラストで気球と共に上空を飛行しているのは、ちょっと気になる「マイコンレディ」の面々。コピーにもあるように、この頃のマイコンは何か良くわからないけれども、きっと何かをやってくれる。何かワクワクさせてくれる宝箱のような存在だったのかもしれません。

裏表紙 PASOPIA

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裏表紙には東芝のパソコン、初代「パソピア」が紹介されています。「パソピア」は「パーソナル」と「ユートピア」の合成語です。それにしても、東芝ロゴマークが古いですね。個人的には後継機の「パソピア7」(6オクターブ6重和音!)の方が記憶に残っていたりします。本体や周辺機器はグレーを基調に中々シックな仕上がりです。(相も変わらず高価ですが)ただ、少し気になるのは取り分け目立つキーボード内の赤と緑のキー。確か赤がBREAKキーで、緑がGRAPHキーだったと思います。特別に目立たせたかったのでしょうか。東芝の機種は、この仕様が多かった様に思います。因みにこのカラーはロゴタイプの「O」の部分にも使用されていたりします。